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リスティング広告でCPAが高い場合の対処法

CPAとは?

CPAとは​「Cost Per Action」の略で、1件の成果や顧客を獲得するためにかかった広告費用を表します。つまり、CPAが低ければ低いほど効率的に広告運用ができているといえます。費用対効果を考える上でCPAは重要な指標となるため、その数値が高い場合、CPAをいかに下げるか見直しを図ることで、より効果的な運用ができるでしょう。

 

ここでは、CPAが高くなった場合にチェックすると良い4つの項目について、それぞれ具体的に対処法を説明していきます。

 

 

CPAの計算方法

まずはCPAが算出されるまでの計算式を分解してみましょう。CPAはシンプルに計算すると”COST÷コンバージョン数”となりますが、COST÷コンバージョンを分解すると、「(インプレッション数×クリック率×クリック単価) ÷ (クリック数×コンバージョン率)」となります。

 

更に、それぞれの指標を分解をしていくと
・クリック率 = クリック数÷インプレッション数
・クリック数 =インプレッション数×クリック率
・クリック単価 = 広告ランク × キーワードの入札単価
・コンバージョン数 =クリック数 × コンバージョン率
となります。

 

なお、広告がクリックされる際の単価は、主に上限入札単価・品質スコア・広告表示オプションに左右されますが、レーティングはブラックボックスであり可視化することはできません。ただ、上限入札単価はコントロール可能ですし、品質スコアは定量数的に確認可能、広告表示オプションはどの程度活用できているか確認可能なため、これらの要素をしっかり確認、改善していけば理論上自ずと広告ランクは向上していきます。リスティングのCPAが高くなっている場合、これらいずれかの指標に改善の余地がある可能性があります。

 

 

チェック1:選定キーワードの確認

CPAが高くなった場合にチェックすべき項目には主に、以下の4つが挙げられます。

①選定キーワード
②広告文などクリエイティブ
③アカウント構造
④ランディングページ

 

まず、選定キーワードについて、主に確認するべきは次の2つです。

①:部分一致の拡張で不要なキーワードを拾っていないか
②:ターゲットに合わせたキーワードを選定できているか

 

①では、既に配信しているキーワードで部分一致のものがあれば不要なキーワードで無駄コストを使っていないかを確認します。Google広告、Yahoo!ともに検索クエリ(実際にユーザーが検索をしたキーワード)を確認することができるので、もし不要なキーワードでコストを多く費消しているのであれば、除外キーワードとして設定、コンバージョン率が高いキーワードで完全一致ないしはフレーズ一致で登録していなければ、新規キーワードとして登録しましょう。

 

②では、狙っているターゲットユーザーが検索するようなキーワードを追加できているか、再度登録キーワード確認しましょう。登録しきれていないが何を登録すれば良いか想起できない場合は、Google広告のキーワードプランナー等を使い関連キーワードから拡張する、無料のサジェストキーワードツールを用いて掛け合わせキーワードから発見するなどの手法があります。

 

また、別の具体的な方法としては、配信開始して初期の段階であれば不要なキーワードで配信してしまうリスクも伴いますが、主軸となるBigキーワードを部分一致で広くキーワードを拾えるよう配信し、実際にクリックやコンバージョンに繋がったキーワードを頻繁にモニタリングして完全一致、フレーズ一致として登録するといった対応により適切なキーワード選定に繋がります。

 

チェック2:クリエイティブの確認

次にクリエイティブの確認ポイントです。主な確認ポイントとしては以下の通りです。
①、③はクリック率とクリック単価に、②はコンバージョン率に影響します。

 

①:広告文にクリックしたくなるような記号、文言が使用されているか
②:広告文に行動を促すような文言が含まれているか
③:使える広告表示オプションを全て導入できいているか

 

①は、検索結果画面には競合の広告文や、リッチスニペット(​​検索結果の表示内容が通常より多くの情報が表示されること)など様々なクリエイティブが並びます。その中でまずはユーザーの目に留めてもらうことが前提であり、そのためには【】など広告レギュレーション上使用可能な記号で重要な部分を囲むことや、抽象的な表現ではなく訴求要素になるのであれば具体的な数値を含めることが重要です。競合の広告文なども参考にしつつ、差別化できる意識すると良いでしょう。

 

次に②について、いくら高い広告文でユーザーをサイトへ誘導したとしても、その後できるのは無料相談なのか、資料請求なのか等、その先で何ができるのかを明記することが重要です。予めリンク先でどのようなアクションを取れるのか訴求することにより、無駄クリックを省くことができ、クリックしたユーザーにはコンバージョン率の改善が見込めます。

 

最後に③について、Google広告にもYahoo広告にも広告表示オプションが存在します。

 

Google広告を例に上げると、

・サイトリンク – 広告説明文の下に特定のページへのリンクとテキストを表示します
・コールアウト – 広告説明文の後に、追加の説明文をフレーズ単位で設定できます
・構造化スニペット – 商品やサービスの特徴をアピールできます
・電話 – 会社や店舗への電話問い合わせ電話番号を表示できます
・住所 – 会社や店舗の所在地を表示できます

など多数あり、広告表示オプションを使用することで品質が高いとみなされれば表示され、より広告面を広くすることが可能となり、クリック率向上に繋がります。

また導入していることだけで広告ランク上プラスに働くため、広告ランク向上、ひいてはクリック単価低下に繋がる可能性があります。可能なものは全て導入できているか確認してみましょう。

 

チェック3:アカウント構造の確認

アカウント構造の確認ポイントは以下の3点です。

 

①:AI学習が機能するにたるデータが蓄積されるよう類似キーワードを、同一キャンペーンに統合できているか
②:キャンペーン予算が十分に足りているか
③:異なるキャンペーンに、同じ検索キーワードに反応するキーワードが含まれていないか

 

①について、昨今の運用型広告においては各媒体のAIによる学習機能の発達により、より多くデータを蓄積することでより最適な露出に繋がるようになっています。また、データの蓄積、学習はキャンペーン単位で進むため、可能であればキャンペーンをまとめ、各媒体のAI学習機能をうまく活用すると良いでしょう。

 

②、③については、いずれもキーワードに対するインプレッション率と品質スコアに影響します。これによりクリック単価の上下に繋がります。この②、③が影響を与える理由は、以下のようなオークションの仕組みにあります。

 

1:ユーザーがキーワードを検索する
2:アカウントに検索キーワードに反応するキーワードが含まれているキャンペーンが存在する
3:キャンペーン単位で入札がかかる
4:同じ広告グループに検索キーワードに反応するキーワードが複数含まれている場合、完全一致>フレーズ一致>部分一致の優先度で選出される
5:他の広告グループにも検索キーワードに反応するキーワードが含まれている場合、広告ランクが高い方が選出される
6:広告を配信するに足る広告ランクを満たしている
7:広告が露出される

 

ここで重要なのは、3と5です。この2つの項目により、同じアカウントでも異なるキャンペーンに同一検索キーワードに反応するものが含まれていると、他社との戦いの前にアカウント内で競合し入札単価を引き上げ合ってしまいます。これらのことから、②③がクリック単価の上下に影響を与えるといえます。同一検索キーワード反応するキーワードは同じ広告グループに統合した方が良いでしょう。

 

 

チェック4:ランディングページの確認

最後に、リンク先のランディングページでは主に以下のポイントを確認します。

 

①:広告で謳っている内容と齟齬がないか
②:コンバージョンを促すようなデザイン設計になっているか

 

①、②ともにコンバージョン率に影響し、①に関しては広告の品質にも影響します。
①は、例えばサイトに訪問してみたら広告文で謳っていた商品と全く異なるものだった場合、訪問ユーザーの期待にそぐわない結果となり、離脱の要因ひいてはコンバージョン率の低下につながるでしょう。広告文の内容とランディングページの内容の親和性は、品質スコアに影響する要素であるため、齟齬のないランディングページを用意、あるいは広告文をランディングページの訴求内容に合わせることで品質スコアの向上、ひいてはクリック単価の低下が期待できます。

 

②について、あくまでも最終的にコンバージョンを獲得できるのはランディングページです。肝心のランディングページにコンバージョン動線がない、あるいは目立たない所に設置されている、他の訴求画像などが目立ち過ぎて視認性が低い等といった場合、いくらターゲットキーワード、広告クリエイティブ、アカウント構造を磨きユーザーを効率良く誘導した所でコンバージョンは上がらず結果、CPAが高くなる要因になります。ランディングページに課題感があるのであれば競合のランディングページなどを調査し参考に良い要素を取り入れると良いでしょう。

 

 

まとめ

CPAを改善する方法は様々です。より効率的な広告運用を行うために、それぞれの項目の見直しは必須と言えます。見直し、修正を繰り返し、より良い運用になるよう改善を図っていきましょう。

 

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