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運用型広告の種類について解説

運用型広告とは

昨今のマーケティング手法として大きな比重を占めている運用型広告。そもそも運用型広告とは、膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法のことを指します。検索連動広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、DSP/アドエクスチェンジ/SSPなどがその典型例として挙げられます。なお、枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは、運用型広告には含まれません。

 

運用型広告のポイントは、

 

①各媒体が持つデータを用いた高精度のターゲティングが即時にあるいは自動的に可能であること。

②広告の買い付けがオークション形式の入札によって決まること。

③効果計測が可能であるため広告への投資対効果が可視化できること。

 

の3点と言えます。

 

このように運用型広告はターゲティング精度を高めることが可能であり、他の広告出稿に比べリアルタイムでのコスト管理が可能なため利便性が高いのが特徴。出稿額は年々増加し、2020年の電通による調査「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」では、インターネット広告の中でも約8割を占めインターネット広告の主流となっています。ここでは、そんな広告の主流と呼ばれるマーケティング手法の運用型広告の種類を解説していきます。

 

 

運用型広告の種類

運用型広告には大きく分けて、①リスティング広告、②DSP広告、③アドネットワーク広告があります。それぞれの大まかな特徴は、①リスティング広告はGoogleやYahooといった検索面に検索キーワード単位で露出させることが可能な広告、②DSP広告はDemand Side Platformの略で、多数存在する広告枠を束ねたSupply Side Platform、通称SSPと呼ばれるネットワークに接続されているため幅広いメディアやサイトに露出させることが可能な広告、③アドネットワーク広告は各メディアやサイト上に、メディアやサイト自体が保有するデータを活用してターゲティングすることが可能な広告、となります。

 

種類①:リスティング広告

リスティング広告は主要な掲載面として「Google検索」、「Yahoo!JAPAN!検索」が挙げられます。

 

日本国内における検索サービスのシェアは、Desktop Search Engine Market Share Japan | StatCounter Global Statsの「日本の検索エンジン市場シェア-2021年8月」によると、Google検索がPC・スマートフォンともに約75%のシェア、Yahoo!検索がPCで約15%、スマートフォンでは約23%を占めており、またそれぞれ検索ネットワークとしてシェアの低い検索サービスへもGoogle、Yahoo!JPAPAN検索から「検索パートナー」として入札することが可能ですので、両媒体での運用を行えばリスティング広告の面はほぼ100%網羅することが可能です。ただし、それぞれ使用される属性が異なるため事業のターゲットに合わせてGoogle検索のみ出稿、など使い分けていく必要もあるでしょう。

 

ターゲティング方法はキーワード単位で可能であり、入札形式は基本的にはクリック課金型のため、クリックが発生しない限り費用は発生しません。クリック単価の相場感はキーワードの競合性、媒体による広告の評価によって左右されます。相場感は数円から数千円と幅広く主に業態によって変動します。

 

種類②:DSP広告

DSP広告は、DSP(Demand Side Platform)を通じて配信されるディスプレイ広告を指します。広告主が狙いたい属性のターゲットユーザーに対して、リアルタイムに広告枠の入札が行えるのが特徴。代表的なものでは、MicroAdBLADE(マイクロアドブレイド)、Criteo(クリテオ)、FreakOut(フリークアウト)、logicad(ロジカド)等が挙げられます。

 

先述の通りDSP広告は多数存在する広告枠を束ねた複数のSSPと接続しているため、DSP、SSPそれぞれが持つユーザーの行動履歴などの膨大なデータをもとに、自動的に一瞬で広告の最適化と費用対効果を上げる仕組みであるため、DSP広告を利用するだけで広告効果の最適化が図れます。また、近年ではFreakOutやMicroAdからタクシーのディスプレイに広告を出稿できたり、デジタルサイネージに露出したりなど、どの媒体とも接続することが可能となってきており、より多くのターゲットにアプローチできるようになってきています。

 

ターゲットは、基本的には各DSPが保有するオーディエンスデータを元に配信設定が可能であり、セグメント設定の種類はそれぞれ異なります。入札にはRTB(Real Time Bidding)という仕組みがあり、ターゲットユーザーが広告枠のあるサイトへ訪問した直後に広告枠を束ねるSSPが入札リクエストを受け、他に入札リクエストを受けたDSPとオークションが瞬時に行われ、オークションに勝利すれば表示されるというものです。ただし、一方でシステムのデータ処理が遅いと、入札金額を高く出したとしてもオークションで勝てず、広告を配信することができないことになるため、データ処理能力の高いDSPを選ぶ必要があるのが注意点です。課金形式は基本的にはインプレッションですが、クリック課金を選択することも可能です。

 

種類③:アドネットワーク広告

アドネットワークの代表例としては、Google Display Network(GDN)・Yahoo! Display Network(YDN)・モバイル面を多数保有するi-mobile Ad Networkなどがあります。加えて近年、Facebook広告・Instagram広告・Twitter広告・LINE広告・LinkedIn広告など、SNS媒体のアドネットワークへの出稿が増えてきています。その背景としては、SNSユーザーはSNSを通じてコミュニティを構築したり、タイムライン上で様々なコンテンツを閲覧すること等があります。これにより、媒体側は様々なデータを蓄積でき、広告主側としては狙いたいターゲット層へ広告を届けやすいといったターゲット精度の高さが挙げられます。

 

ターゲット方法は広告媒体毎に様々ですが、ほとんどの媒体で共通しているのは興味関心ターゲットです。どの広告媒体にするかを決めるのにターゲット精度を考慮する場合、ターゲティングの定義元となるのは媒体が保有するデータである点を考慮することがポイントです。例えばGDNやYDNなどですと基本的にはネットワーク上でのユーザー行動を元に推測し定義付けしているため精度が粗くなってしまうことがあります。一方、Facebook広告の場合、職業などの項目を登録するユーザーもいるため、職業を指定してターゲティングすることができ、Twitter広告であればユーザーがフォローしているアカウントを指定することができるため、競合のアカウントをフォローしているユーザーに対して広告を配信することが可能など、高い精度でターゲティングすることが可能です。

 

ただし、媒体毎にユーザー層は異なってきますので、定めたターゲットが存在する媒体を選定し、確度が高いターゲットメニューを選定することが重要になります。また入札手法は基本的に、GDN、YDNはクリック課金、SNS広告はインプレッション課金とクリック課金を両方選択することが可能ですが、ターゲットの精度が高いため出稿する競合も多くクリック単価に換算すると高くなるケースが多くなるでしょう。

 

運用型広告を始める

前述の通り、運用型広告と一口に言っても、その種類、露出先、入札の仕組みは数多く有り、どの手法を活用するかは広告出稿する目的、商品のターゲット、ターゲットが存在する広告媒体を考慮して吟味するところから始めましょう。なお、運用するには大きな工数がかかる上、媒体によっては代理店を介さなければ出稿できないところもあります。このため、まずは媒体に直接問い合わせるか、広告代理店に相談してみるのがおすすめです。

 

まとめ

様々な種類がある運用型広告。活用していく上で難しい側面も多いかと思います。その一方で、自社の商品やその魅力をよく分析し、細かくターゲット層や出稿先を吟味していけば、より自由度の高い効果的な運用広告ができ、求める成果達成につながる大きなメリットになると言えます。

まずは、第一歩として運用型広告の種類を知り、次に繋げていくことが大切です。

 

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