インターネット広告の全体像を知る
一口にインターネット広告と言っても、その種類やできることは多岐に渡ります。今一度インターネット広告についての知識を網羅しておくことは、自社の広告効果を最適化していく上で大変重要です。以下では、主要な6つの広告形式について解説していきます。
Contents
ネット広告の分類基準・共通するメリット
自社でどのネット広告を運用していくかを考えていく際に、大前提として、それぞれの広告の特徴を知っておくことが必要不可欠です。ただ、各広告形式の特徴を事細かに覚えておくことはなかなか困難であり、広告システム自体も随時アップロードされることから、現実的ではないといえます。
そこで、まずは大きく体系的なところから捉えることがおすすめです。以下の4つの分類基準を押さえると良いでしょう。
(1)掲出場所
検索エンジンの広告枠、ブログやアプリ内・各種SNSの広告枠、動画プラットフォーム
(2)形式
テキスト、画像(バナー)、動画
(3)配信方法
キーワード連動、リターゲティング(閲覧履歴)設定、オーディエンス設定
(4)課金方式
クリック課金、成果報酬、期間課金、インプレッション課金
上記4つの項目の中身を組み合わせることで、より柔軟な広告設定、運用設定ができるようになります。自社商品・サービスの特徴や対象となる消費者の特性等を踏まえて決定していきましょう。
インターネットの大躍進やスマートフォンなどの電子機器の発展により、人々の情報収集やコミュニケーションの場は、テレビや雑誌、新聞、ラジオのいわゆるマスコミ四媒体からWEBサイトやSNSに大きく移り変わりました。また近年のコロナ禍でもEC需要によって広告全体の出稿量は増加しており、ネット広告は広告媒体の中でも大きな存在となっています。
実際、インターネット広告費は2021年は2兆7,052億円と前年比121.4%の成長となっています。そして総広告費における「インターネット広告費」の構成比は39.8%となり、ついに、インターネット広告費が初めて推定された1996年実績以来、初めてマスコミ四媒体広告費を上回りました(株式会社電通調査レポート「2021年日本の広告費」参照)。
ネット広告の最大のメリットは、費用対効果のデータを収集し可視化できるという点にあります。広告に紐づけてユーザの動向をトラッキングしたり、コンバージョンを計測できるようになったことで、企業はその貴重な広告予算をどのように投資していくかを決めるための大きな判断材料を得られるようになりました。このことが、ネット広告が企業に支持される所以と考えられます。
代表的な広告形式
それではつづいて、主要な6つの広告形式について解説します。
(1)SNS広告
Facebook 、Instagram、LINE、TikTok、Twitter、LinkedInなどソーシャルネットワーキングサービスを行っているメディア内での広告を指します。
SNS 広告の強みは、ユーザーが登録している地域や年齢などの基本情報や、行動履歴をもとに精度の高いターゲティングが行えることです。また、リツイートやいいねなどのSNSならではのシェア機能が広告でも使えるため拡散性が強く、リーチ数も多いことから、認知目的から購買目的まで幅広く活用することができます。
SNSによって利用者の年齢層が異なるなど、それぞれSNSの中でも特徴があり、また、各媒体で配信できるユーザーや設定できる内容が大きく異なります。そのため自社商品やサービス、広告配信の目的に応じて使い分けることが重要です。
(2)ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリ上の広告枠に表示される、テキストや画像、動画で表示される広告のことをいいます。主にバナー型のサイズでWeb上に掲載されるため、SNS広告と区別するためバナー広告とも呼ばれています。
ディスプレイ広告の強みは潜在層へのアプローチが可能な点にあり、まだ課題に気づいていないユーザーに広告を配信することができます。また、コンバージョンに至らなかった訪問ユーザーに対して、再度広告を配信できるリマーケティング(GDN)やリターゲティング(YDA)という配信機能がある点も大きなメリットです。
(3)リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!が提供する検索エンジンの検索結果ページにおいて、ページの上部と下部に表示される広告のことです。形式はテキストのみです。ユーザーが検索したキーワードに関連した広告が掲載されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれています。
リスティング広告の強みは、この検索キーワードと関連性の高い広告を掲載できることで、ニーズが高まっている顕在層のユーザーへ効果的に訴求できる点にあります。顕在層のユーザー向けの広告は、その後のアクションにつながりやすいことが特徴で、購入や申し込みなどにつながりやすいことがメリットです。販促目的で広告を出したいとき、リスティング広告は企業にとって必須の広告といえるでしょう。
(4)動画広告
動画広告とは、Webサイトやアプリ上で掲載される動画クリエイティブを用いた広告を指します。
例えば、代表的なものとしてはYouTubeコンテンツの冒頭や合間に流れる15秒〜30秒程度の動画広告があります。静止画とは異なり、動作や音楽などを盛り込んでユーザーの聴覚や視覚に訴えかけられるため、ユーザーの印象に残りやすく、ブランド認知度や購買意欲の向上に効果的な注目の広告です。また、他の広告形式よりもクリエイティブに盛り込める情報量が多いのも利点です。
動画は内容にストーリー性を持たせることでユーザーに伝わりやすくなるので、動画クリエイティブを制作する際はよく吟味して構成を組み立てていくのが良いでしょう。
(5)リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去にランディングページやWebサイトを訪れたことがあるユーザーに対して再度広告を表示させる追従型の手法をいいます。
前述した(1)〜(4)の広告手法を横断するような手法です。興味を持ったユーザーや、購買を検討している可能性が高いユーザーへのアプローチをピンポイントで行うことができるため、認知獲得にも販促目的においても、効果的な広告手法といえるでしょう。ただし、近年では個人情報保護を目的にクッキーレス化が進んでおり、トラッキングが従来より難しくなっているため、リターゲティングに代わる有効な配信手法の発掘が急務となっています。
(6)アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、成果報酬型広告のことをいいます。前述した5つの広告手法とは少し属性が異なります。例えば、ブログなど自分のメディアを持っている第三者に自社の広告をそのメディアに貼ってもらい、その広告の成果によって報酬を支払うという手法です。
アフィリエイト広告の最大のメリットは、Webマーケティングにおいて課題となる運用面の労力が大幅に削減される点にあります。広告を貼り付けるアフィリエイターが増えれば自然と広告の数も増えていく仕組みのため、自社が直接プロモーションを行う労力をカットできることになります。
また、アフィリエイト広告は成果分だけ報酬が発生するため、かかる費用に無駄がなく、事前に成果に対する契約金額を決めているので、予想外の支出もありません。ネット広告の中では最もリスクが低く、この点も強みといえるでしょう。
終わりに
前述の通り、ネット広告には様々な手法があります。このため、どの手法が最適かは自社商品やサービスの特性をどのようにアプローチしたいのか、どのような人に何の目的で広告を打ち出したいのかを考慮していく必要があります。
また、広告運用の過程のなかで、ユーザーの行動理解は必要不可欠です。例えばAISASモデルといった購買行動モデルを理解しておけば、ユーザーの段階に応じて、どのような方法で働きかけると効果的かを検討しやすくなります。今一度、ネット広告の基礎に立ち返り、基礎知識から応用まで自社の広告運用に活用していきましょう。