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「パーソナライゼーション2.0」とは?|ターゲティングの新しい考え方

パーソナライゼーションという言葉をご存知でしょうか。パーソナライゼーションとは、いくつかあるマーケティング手法のうちの1つです。これまで販売戦略等を練る際に、パーソナライゼーションは多くの場面で活用されてきました。しかしながら、コロナ禍での人々の生活様式や行動パターンが変わってきた影響で、近年では従来のパーソナライゼーションは最早適切ではなく、より適した考え方があるのではないかとの観点から、新たにパーソナライゼーション2.0という考え方が主流となってきています。自社の成果達成をしていく上で、この考え方を知ることは必要不可欠といえます。

 

ここでは、新しい考え方であるパーソナライゼーション2.0について解説していきます。

 

従来のパーソナライゼーションとは

従来のパーソナライゼーションとは、ユーザーのニーズに応えるために、主にユーザーの属性などを基に、企業がユーザー一人ひとりにあわせて商品を選定・提案する手法です。収集する情報はできる限り広く漏れなく収集することが大切だと言われ、サイトを訪れたユーザーの性別、年齢、出身地、生年月日、職業、家族構成、興味のあることなど幅広い情報を収集するのが一般的でした。

 

パーソナライゼーションという手法を行うことで、企業にとっては下記のメリットが得られます。

①顧客との結び付きが強められる
②顧客データが蓄積される
③リピーターが増加する
④潜在顧客へアプローチが行える

 

他方で、ユーザーにとっても自分が興味関心がある商品や情報が提供されるので、利便性が高くなるというメリットがあります。

 

しかしながら、個人情報保護の重要性が年々高まっている現在においては、本当に幅広い情報を取得することが本当に最適化されたマーケティング活動の実現に結びつくのか、疑問視する声が大きくなってきています。このマーケティング手法は現代にそぐわないものとなりつつあるのが現状といえるでしょう。

 

変化する現代社会

前述の通り、個人情報保護の重要性がより説かれるようになったことに伴い、クッキーレス化の波も来ています。クッキー(Cookie)とは、Webサイトへアクセスを行なった際に、サイト側が同じ人が再訪してきたときにわかるように、WebサーバがユーザーのPCやスマホに保存する小さなデータファイルを指します。クッキーレスとはその名の通り、このクッキーが使えなくなることを意味します。

 

ユーザーの訪問履歴を得ることで、そのユーザーが何に興味関心があるのか、何を求めているのか知る貴重なヒントが得られるため、企業にとって広告の選出をする場合などにとても役立ってきました。しかしながら、こうしたデータの収集はユーザー本人に無許可で行われてきたため、個人情報保護の観点から、特に3rdパーティクッキー(訪問したサイトとは別の第三者が発行するもので、複数のサイト(ドメイン)を跨いでユーザーの情報を記録・管理することが可能)のクッキーレス化がGoogleを筆頭に加速しているのが現状です。

 

このように従来のように幅広く情報を集めることが困難になった状況下において、いかにより質の高いマーケティング戦略を立てていくかを考える上で、発想を転換することが重要となっています。

 

パーソナライゼーション2.0の台頭

近年広がりをみせてきたのがパーソナライゼーション2.0という考え方です。技術の発展に伴いインターネットやSNSなどチャネルの多様化に加え、コロナ禍において生活スタイルが世界的に変化したことで、その多様化や利便性が加速しています。また、それに伴い個人の趣味嗜好が従来とは比べ物にならないくらい広がり、顧客のニーズも多様化してきています。このような中で、従来のように「30代女性」「大阪在住」といった属性等に分類して対応するのでは、顧客ニーズに合わなくなってきているのが現状です。このため、従来型から発想を転換し、この属性から少し離れて、その人個人の興味関心・行動に注目しようと考え出されたのが、パーソナライゼーション2.0です。

 

より効果的な手法はどちらかという観点から考えた場合でも、属性で括るよりも、例えば「中華料理を作ってみたい」「包丁がほしい」といった興味関心が明確なユーザーにターゲティングした方がより成果達成に繋がりやすいといえます。このように、そのユーザーが今抱いている興味関心は何か、何に対して行動しているのかが分かれば、クッキーレス化になっても十分なターゲティングが可能となるでしょう。

 

以上のことから、より効果的なマーケティングを行っていくには、情報収集とその活用方法がより大きなポイントになるでしょう。これから企業が行なっていくべき重要なことは、クッキーレスの対象とならず今まで通り利用が可能な1stパーティクッキー(訪問したサイトが発行するもので、自社のwebサイトを訪問したユーザーの情報を管理するために利用される)の収集方法の拡大およびその利用を検討していくことといえます。

 

データの取得方法が重要

データ取得方法を考えていく上で、特にポイントとなるのが「1stパーティデータ」です。1stパーティデータとは、1stパーティクッキーに加え、購買履歴やPOSデータ、自社が保有する顧客情報など自社サイトで収集したユーザー情報をいいます。直接ユーザーから取得するため一定程度の品質・信頼性があるといえ、かつ、ユーザーや見込み客が自社サイトで自社商品に対してどのように行動しているかを正確に把握することができる点が非常に大きな利点となっています。

 

ユーザーの興味や関心、行動に関するデータを十分に取得するには、ユーザーにしっかりと自社サイト内を回遊してもらえるようなサイト作りをしていくことが大前提です。また、データは1度取得しただけではその取得時の情報しか得られず、情報鮮度が停滞してしまうため、最新のユーザー情報を取得するために、ユーザーがサイトを利用する時などに徐々に追加のデータ収集を行えるよう事前に戦略を立てておくことも重要です。例えば、ユーザーの興味を明らかにするためのコンテンツを種類ごとに分けて用意するなどして、ユーザーの行動からどんな興味関心を持っているか探っていくのが良いでしょう。さらに、ユーザーの興味を元にクーポン取得を提案したり、メールマガジンの登録を提案するなどすれば、ユーザーに強制することなく自らの意思でユーザー登録してもらうことが可能でしょう。

 

AI分析の活用

AIのような最新のテクノロジーを用いることもおすすめです。例えば、アメリカの「Stitch Fix」という上場企業では、「AIとスタイリストが洋服を選んでくれるサービス」を提供しています。ユーザーへの簡単なアンケートを元に解析され、過去データを元にユーザーが好むであろう商品を提案してくれます。また、購買データや返品データを元に需要予測をしてくれるため、各商品の仕入れの適正化を図ることができる仕組みをもっています。

 

このように、機械学習の力を活用することで、既に取得している情報を元に精度の高い予測をしてターゲティングを行うことができるようになります。さらに、自社の効果的な仕組化を促進させるサポートもしてくれる点で、AIの活用は今後欠かせないものとなっていくでしょう。

 

終わりに

インターネットやSNSの普及によって、ユーザーの興味関心やニーズが多様化していく中で、よりユーザーのニーズにマッチしたターゲティングを行っていくことは非常に重要なポイントといえます。変化の最中にある現代においては、より柔軟な思考で挑戦していくことも大切です。自社のデータ取得方法を今一度見直し、より鮮度の高い情報を得られるようブラッシュアップを行い、さらにAI等最新テクノロジーを用いることも考慮して、活用を検討していくことが重要です。

 

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