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「GA4」とは?特徴や活用方法を解説【2023年7月から完全移行】

2022年3月16日、Googleからついにユニバーサルアナリティクスが2023年7月1日で終了し、Googleアナリティクス4(以下『GA4』)に完全移行するとの知らせが発信されました。

 

Googleアナリティクスは現在のデジタルマーケティングを支える根幹ともいえ、その大幅な変更となることから、企業は急ぎ対応が必要な状況となっています。

 

ユニバーサルアナリティクスからGA4に移行するにあたり、どのような点が変わったのかなど、GA4に刷新された背景と共に特徴を解説します。

 

GA4への変更の背景とは

2005年、いわゆる第一世代である『Googleアナリティクス』を皮切りに、無料で本格的な機能が利用できる解析ツールとして、Googleアナリティクスは現在まで世界中で利用されています。そして、現在主流で使われている第三世代のいわゆるユニバーサルアナリティクス(以下『UA』)は、2012年に登場しました。

 

しかしUA登場後の10年の間に、技術の進歩や多様化するユーザーのライフスタイルの変化など、さまざまな変化が起こっており、日々のアップデートだけでは対応しきれない状況が出てきているのが現状です。

 

このような状況の中、GA4へ刷新された背景としては、特に3つのマーケティング環境の変化が理由として挙げられます。

 

カスタマージャーニー全体を捉えた顧客理解の必要

ユーザーが商品を購入する際、どのような行動をしているでしょうか。少し前までは、スマホでだけ、またはwebでだけといったように、それぞれ単体で商品を知ることから購入を決めるまでの一連の手続きが行われていました。このため、UAの場合は主にWebサイトを計測対象とし、セッション単位(セッション数とは、webサイトを訪問してから離脱するまでの回数)で計測を行えば、十分解析できていました。

 

しかしながら、現在のユーザーはスマホのアプリで商品の情報を入手し、webサイトで商品サイトを閲覧して情報収集、時には実店舗に行ってから購入するなど、様々な媒体を行き来した上で購入に至ることが当たり前になっています。マーケティング業界でも、いかにオムニチャネルを活用していくかが活発に議論されているかと思います。

 

このように、1つの媒体のセッション単位を計測するだけでは、カスタマージャーニー全体を捉えることが困難といえます。企業としては、今後何度も訪問してくれるユーザーをいかに増やしていくかが鍵となるでしょう。Googleアナリティクスとしてもこの点について、いかに企業をサポートできるかが課題となったといえます。

 

Cookie(クッキー)の廃止に伴うユーザー識別方法の必要

個人情報保護の観点から、近年廃止の方向に進んでいるCookie。日本では、2022年4月の個人情報保護法改正に伴い、ユーザーの同意を得なければCookieの利用ができない仕様になっています。

 

UAでは、サードパーティークッキーを利用することで、複数のWeb上で同一ユーザーの行動が追跡できます。商品に興味のありそうなユーザーか否かなど、ユーザー識別方法としてこのCookieを利用していますが、Cookie廃止に伴い解析精度が下がっていくことが予想されています。

 

このため、新たなユーザー識別方法を探す必要が生じています。

 

データとアクションを繋げる分析ツールの登場

最後の変化は、新たな分析ツールの技術の登場です。

 

UAでは機械学習といった機能がなく、せっかく分析できたとしても、それをすぐにマーケティングのアクションに繋げるのは難しく、アクションまでに何工程か挟む必要がありました。

 

しかし近年、学習を重ねることでデータの背景にあるルールやパターンを発見する技術が一般化したことで、マーケティング領域での活用にも応用されるようになりました。これにより、例えばより精度の高い来店予測が可能となり得ます。

 

こうした機械学習の技術を分析ツールにも応用することで、データとアクションを直接繋げられるようになるのではないかと期待されています。

 

GA4の特徴と活用方法

前述の環境変化に対応すべく生み出されたGA4。その特徴は大きく分けて5つあります。

 

(1)計測対象

従来webサイトのみが計測対象でしたが、GA4の場合、webサイトとアプリの両者を対象とすることができ、両者を統合して分析できるようになりました。

 

レポート画面に『データストリーム』という項目が追加されたことに伴い、プラットフォームごとの計測が可能となり、OS別、アプリ別の分析が可能となっています。

 

これにより、オムニチャネルにも十分対応できるようになりました。

 

(2)レポート項目

UAにおけるレポートでは、セッションごとの売上を重視していましたが、GA4ではユーザーを軸にし、かつライフサイクル全体を重視するように大幅に変更しています。

 

前述の通り、今後はいかにオムニチャネルを活用していくかがキーポイントです。そのために、GA4はユーザーの流入経路はどこか、LTVがどのように上がっていたかといった、カスタマージャーニーを元にした分析もできるようになっています。

 

なお、LTV(ライフタイムバリュー)とは『顧客生涯価値』といい、一人の顧客が特定の企業やブランドと取り引きを始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)内に、自社に対してどれだけの利益をもたらすのかを算出したものをいいます。

 

このように従来の分析と大幅に変わるため、企業側は発想の転換が求められ、柔軟に対応する必要があるでしょう。

 

(3)ユーザーの識別方法

前述の通り、UAの場合基本的な識別方法はCookie(クッキー)によるものでした。GA4では、確度の高い順にユーザーを識別する方法を全て利用しています。すなわち、①User ID、②Googleシグナル、③ブラウザ別クッキーの3種類に分けられ、①があれば①、なければ②、②がなければ③という形で利用します。

 

会員IDなどのUser IDの場合、ユーザーが自社のサイトでログインしていることで、webサイトやスマホを行き来していてもユーザーの識別が可能です。Googleシグナルとは、ユーザーのGoogleアカウントを利用することで、PCスマホの両方でログインしているユーザーについて、識別が可能となっています。

 

ブラウザ別のクッキーとは、規制対象にならなかったファーストパーティクッキー、すなわちユーザーが訪問したwebサイトから直接発行されているクッキーを利用する方法です。いくつか方法はありますが、企業にとって最も良いのは自社のサイトでユーザーに会員になってもらうことです。

 

今後は、いかにユーザー会員を増やすかも重要といえるでしょう。

 

(4)機械学習

4つめは従来備わっていなかった機械学習です。

 

GA4では収集したデータを分析し、例えば、『サイト訪問から3日以内に購入の可能性が高いユーザー』を見つけ出し、Google広告のターゲティングに活用できるようになっています。ただし、この機能は未だ発展途上であり、これからに期待というところです。

 

(5)BigQuery連携

UAでは有償版のみしかなかったBigQuery連携ですが、GA4では無償版でも利用可能となりました。従来画面上のレポート等の結果しか見られなかったところ、その元データをエクスポートできるようになり、より自身で詳細な分析が可能となっています。

 

また、元データを元に表やグラフの生成もしやすくなるため、より深い分析レポートを作成することも可能です。企業としては新たに手に入る広範なデータをどのように活用していくかが重要です。

 

以上が、GA4の注目すべき特徴です。これらを踏まえ、企業はこれから、User IDを増やすこと、広範なデータの効果的な利用方法を模索すること等に取り組む必要があるでしょう。

 

さらに、現在Googleアナリティクスを解説ツールとして使っている企業の場合、GA4への移行は2022年6月末までに済ませておくことが非常に重要です。なぜなら、2023年7月から本格的に始動するよりも今から始めておけば、来年7月でも昨対比のデータを活用できるためです。

 

おわりに

GA4への完全移行までいよいよあと1年と2ヶ月を切りました。UAと大きく異なる部分も多々ありますので、導入がまだの方は、早めの対応が必要です。より自社の発展、成果達成に繋がるよう、上手に活用していきましょう。

 

 

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