検索エンジン上のマーケティング「SEM」の基礎知識
近年自社広告を行う上で欠かせない存在になったインターネットによる広告。この広告運用を行う上で必須項目となっているのがSEMです。
ここでは、SEMとは何かから、SEMの基礎である「アカウント構成」と「入札・品質」について解説していきます。
SEMとは
そもそもSEMとは、Search Engine Marketingの略で、検索エンジン上で行うマーケティングを総称したものを指します。Googleなどの検索エンジンから自社や指定のWebサイトやランディングページの閲覧者を増やすためのマーケティング手法です。
SEO(検索エンジン最適化)という言葉をよく耳にする方も多いと思います。SEOは検索結果の表示順位を向上させてCV数を増やすための施策を指し、SEMが持つ施策の1つという位置付けになります。
その他のSEMの施策としては下記が挙げられます。
・リスティング広告
ユーザーの検索結果に連動して検索結果画面の最上部に表示される広告のこと
・ディスプレイ広告
Webサイト内の広告枠に表示される動画・画像・テキストのみの広告のこと
このようにSEMとは、
① どのようなユーザー(キーワード・ターゲティング)に対して、
② どういった広告を、
③ どのくらいの入札で表示させるかを考え、それぞれの施策を選択して落とし込んでいく手法になります。
SEMのポイント①ーアカウント構成ー
SEMを行っていく上で重要なポイントが2つあります。
・「アカウント構成」
・「入札・品質」
ここでは、まず1つ目のポイントである「アカウント構成」について解説していきます。
そもそも広告を出すためには、どのようなユーザーに向けて行うか、キーワード・ターゲティングを設定することが必要です。ただそうは言っても、1つのキーワードに対し、その関連語を抽出すると数百から数千のキーワードが出てきてしまいます。
また、前後入れ替え、表記揺れ、3トークンまで広げると数万から数百万キーワードまで拡大することも多いのが現状です。これら無数のキーワードに対し、バラバラに広告文設定・入札管理・予算管理を行き届かせることは実質的に不可能に近いでしょう。
そこで、一定のルールに基づいたグルーピングと管理を行うために、アカウント構成の設定が重要になっていきます。
アカウント構成とは、大枠の「アカウント」があり、その中でさらに3階層に分かれた構成で、それぞれに役割が決まっています。大まかにいうと、アカウントの中に「キャンペーン」があり、さらにその中に「広告グループ」、その中に「キーワード・広告文」があるイメージです。
それぞれの具体的な役割は次の通りです。
(1)アカウント:月額予算や配信方式等の設定
(2)キャンペーン:開始/終了日、デイリー予算、配信OS、FQキャップ等の設定
(3)広告グループ:入札額/MBA、時間帯、エリア、デモグラ等の設定
(4)広告文:クリエイティブ、表示URL、リンク先、広告別入札等の設定
(5)キーワード:検索キーワード、マッチタイプ、キーワード別入札額、カスタムURL等の設定
例えば広告グループを考える際、同じ広告文とリンク先を持つ広告グループは1つにまとめるなどしてユーザーの広告へのクリック数を集中させることで、後述する広告の品質を高めることに繋げることができます。
このように上述した各項目を吟味することで、より自社に適した広告を打ち出すことができるといえます。まずは運用の第一歩として各役割を正しく理解することから始めましょう。
その他にも、より良いアカウント構成を行うために、広告を作成した後の運用も想定した施策をとることも重要です。例えば、日々の運用や改善がしやすいか、機械学習を有効に活用できるか等を考慮していきます。
SEMのポイント②ー入札・品質ー
次に、SEMの中でも特に重要となる入札・品質について解説していきます。
例えば、効率重視の運用の場合、効率良くできたかどうかはCPA(顧客獲得単価を意味し、新規顧客を獲得するのに、1人あたりいくらかかったかを示すもの)を判断基準の1つとします。
CPAは、COST(広告費用を意味し、全てのCV獲得にトータルでどのくらい費用がかかったかを示す数値)をCV(Webサイトで獲得できる成果)で割ったものです。
また、COSTは、CTs(広告が実際にクリックされた回数)とCPC(1クリックあたりの平均費用)を掛けて算出します。
CPCの決定される仕組みには「入札額と広告の品質」が非常に密接に関わっています。キーワード毎の「入札単価」と「品質」(Google広告ではこれを「品質スコア」、Yahoo!広告では「品質インデックス」と呼ばれています)を掛け合わせて算出したものを「広告ランク」と言います。この広告ランクが高ければ入札額が低くても、競合の出稿に勝つことができる一方、広告ランクが低い場合は、入札額が高騰して、必要以上に費用がかかることになります。
また、例えば件数重視の運用の場合、CVを判断基準の1つとします。CVは、CTsにCVR(コンバージョン率。クリック数に対してどの程度コンバージョンしたかを示すもの。)を乗じたものになります。
また、CTsは、Imp(実際に広告が表示された数)とCTR(表示された広告が、どのくらいの割合でクリックされたのかをパーセンテージで表したもの)を掛けて算出し、CTRは掲載順位とクリエイティブを掛けて算出します。
このうち掲載順位は、先述した広告ランクで決定されます。通常は広告ランクが高い順に上位の広告枠が割り当てられることになるため、件数重視の運用の場合でも、「入札額と広告の品質」が非常に密接に関わっていると言えます。
このように入札と品質は広告運用にとって、大変重要な項目となっています。
品質を決定する要素とは
それでは、その品質を決定するために考慮される要素とは何かを解説していきます。広告の品質は複数の要素によって決定されますが、特に次の3つの要素が大切です。
①「キーワードと広告の関連性」
自社の広告がユーザーの検索の意図と一致する度合いを示します。
②「推定CTR」
自社の広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さを示します。
③「リンク先のランディングページの品質」
自社のランディング ページが、広告をクリックしたユーザーにとってどの程度的確で有用かを示します。
いずれも、キーワードに沿う広告の内容か、ユーザーニーズに合った広告のクリエイティブとなっているか、適切な広告グループを作成したか等を検討し、よりユーザーの目を引くような内容か、ニーズを満たす構成になっているかを考え決定していきましょう。ちなみにGoogle広告では、ログインすることで品質スコアを参照することが可能です。
まとめ
以上、SEMについてアカウント構成と入札・品質の2つの観点から解説してきました。先述した通り、アカウント構成と入札・品質は、密接に絡み合った構図となっています。効率重視の運用の場合でも、件数重視の運用の場合でも自社が目標とする成果を生み出すために、最適な入札/品質管理ができるアカウント構成を作成して運用していきましょう。