Googleの口コミの仕組みについて知る
行ったことのない地域でレストランを探したい時、ネット上の口コミを参考にすることが多くなっています。店側にとっては、悪質な評価や無関係なコメントを防ぎ、口コミが適切な情報として活用される仕組みづくりが重要と言えるでしょう。ここでは、Googleが取り組んでいる口コミの仕組みについて解説します。
口コミの重要性
株式会社ONE COMPATHが実施した『お店の情報収集や口コミに関する意識調査(対象:全国の男女8,576名、実施期間2022年1月7日~13日)』によると、お店の情報は47.3%が企業のホームページ等オウンドメディアで、46.5%がGoogle検索で調べるとの結果が出ています。
特に、Googleマップを含むGoogle検索を利用する人のうち、行ったことのないお店を探す人々の割合は実に80.4%を占めています。新規顧客を獲得したい店側にとって、Google検索は非常に新規顧客の獲得に繋がりやすいメディアといえるので、積極的に活用していくことが重要です。
なお、営業時間など間違いが発見されやすい店舗情報については、常に最新情報になるよう心がけましょう。誤った情報があることに気づいた人のうち、24.9%の人が店舗の印象が悪くなるとの回答をしています。
また、Google検索やGoogleマップを利用したことのある人のうち、72.8%がそこに掲載されている口コミの情報を参考にした経験があると回答しました。これらの人々は、ポジティブな口コミ79.8%、ネガティブな口コミ69.9%とどちらの口コミも参考にしていることが多い結果が出ています。
ちなみに、口コミに対する「お店からの返信」も参考にすると回答した人が24.8%となっています。ネガティブな口コミがあっても、店側の返信内容によっては印象を変えられることもあります。
Googleの口コミの仕組み
このように、口コミはユーザーにとっても店側にとっても重要な情報源と言えます。本当にほしい情報が、関係ない情報や悪質な情報に埋もれてしまい、見逃されてしまうことは避けなければなりません。
Googleでは、2022年2月に同社の公式ブログに『Googleの口コミの仕組みについて』という記事を公開しています。Googleは、日々、世界中のユーザーから数百万件にのぼる投稿がなされる口コミについて、その情報の有益性と正確性を保つため 24 時間体制でサポートしています。サポートについては、大きく3つに分けられます。
(1)ポリシーの作成と実施
まずGoogleでは厳格なコンテンツポリシーを作成しています。その口コミがその場所での体験に基づくものか等を判断基準として、違法・不適切なコメント、無関係なコメント等は禁止及び制限する内容となっています。ポリシーが作成されると、それを元にオペレーターと機械学習アルゴリズムのトレーニング資料が作られ、チームがポリシー違反コンテンツを捉え、最終的に Google における口コミの有用性と信頼性を保つのに役立てられます。
このGoogleポリシーは世界の情勢等に合わせて、その保護内容も日々進化をしています。最近の例では、世界各国で政府や企業が特定の場所の利用に新型コロナウイルス感染症のワクチン接種証明の取得を義務付けたことを受け、保健と安全性のポリシーやワクチン接種義務の遵守について企業を批判する口コミが投稿された際、それらの口コミを削除するため、Google では追加の保護を導入しています。
(2)機械学習を利用した口コミの管理
Googleでは機械学習を利用した管理システムと、人による管理チームの両面を用いたチェック体制を敷いています。口コミが投稿されると、まずはその口コミがポリシーに違反していないことを確認するために、直ちに管理システムに送られます。
パターンの識別に優れる機械の特性を生かし、口コミその他コンテンツの正当性の判断に役立てられています。虚偽コンテンツや不正コンテンツの大部分は、ユーザーが目にする前に削除されているでしょう。前述した公式ブログによると、Googleの機械は以下のような複数の角度から口コミが調べられているとのことです。
<判断基準>
①口コミの内容:不快なコンテンツやトピックに関係のないコンテンツが含まれているかどうか。
②口コミを投稿したアカウント:Google アカウントに疑わしいアクティビティの履歴があるかどうか。
③場所自体:場所やビジネスに対して、典型的でないアクティビティがあったかどうか。(不正な口コミが投稿される動機付けがあったかどうか等)
ただし、これら機械学習も万能ではありません。禁止されている単語でも、それが使われた文章全体を見ると正当な口コミであるという場合もあり、誤って公開をブロックしてしまう場合もあるでしょう。このような可能性を減らすため、人が表現する微妙なニュアンスなど、日々学習してアップデートしていく必要があります。
Google では、人間のオペレーターが定期的に品質テストを実施し、機械学習モデルからバイアスを取り除くために追加のトレーニングが行われています。特定の単語やフレーズの使用方法についてモデルを徹底的にトレーニングすることで、ポリシーに違反するコンテンツを捉える能力を向上させ、正当な口コミの公開を誤ってブロックする可能性を減らしています。
システムによってポリシー違反が検出されない場合、口コミの投稿は数秒以内に完了します。但しそれで終わりではなく、口コミが公開された後でも、提供されたコンテンツの分析を継続して、疑わしいパターンを監視するようにしています。
(3)口コミの信憑性と信頼性の保持
Googleマップでは、使用しているユーザーがポリシーに違反すると思われる口コミに対して簡単にフラグを立てることができる仕組みを導入しています。Google のオペレーターチームは、24 時間体制でフラグが立てられたコンテンツを確認しています。ポリシーに違反する口コミが見つかった場合は Google から削除し、場合によってはユーザーアカウントの停止や法的措置などの対応を取っています。
また、Google のチームは、悪意を持ったユーザーに先手を打つために、フラグが立てられたコンテンツを確認するだけでなく、潜在的な悪用リスクを積極的に特定し、不正行為が行われる可能性を大幅に減らす取り組みをしています。例えば選挙など、多くの注目を集めるイベントが予定されている場合、イベントに関連する場所や、ユーザーがマップで検索する可能性のあるその他の近隣のビジネスに対し、高度な保護を適用します。信憑性と信頼性が担保された口コミのみを公開するというミッションに従い、不正行為のリスクがなくなるまで、これらの場所やビジネスの監視を継続します。
終わりに
行きたいお店を探す時など利用されることが多くなった口コミ。適切な口コミがすぐに出るよう不適切・悪質な口コミが事前に削除されるGoogleの仕組みは、ユーザーにとっても店側にとっても非常に有益です。実際に体験した人の生の声が聞ける口コミは、今後も重要なメディアの一つになっていくでしょう。より正確な口コミが出るよう、節度を持った利用を心がけることが重要です。