アプリキャンペーンの効果的活用で宣伝広告を最適化
自社アプリの宣伝をより効果的に行うにはAC(アプリキャンペーン)を活用することが効果的です。この記事では、ACとはそもそも何かということから、ACを効果的に利用する手法についても解説します。
ACとは
ACとは、App Campaign(アプリキャンペーン)の略称で、検索キャンペーン、ディスプレイ キャンペーン、動画キャンペーン、ショッピング キャンペーン、スマートアシストキャンペーンと並ぶ、Google 広告で利用可能な最上位階層のキャンペーンの名称です。
Google広告のアプリインストール専用のプロダクトの一つであり、企業はACを利用することで、インストールを促す目的でユーザーに対して特定のスマホアプリを宣伝できることになります。
従来のACは、検索エンジン、ディスプレイ、YouTubeなど配信先ごとでバラバラにアプリキャンペーンを行っていました。しかしながら、現在は各アプリキャンペーンを統合し、数十億へリーチするGoogleネットワーク(検索ネットワーク、ディスプレイネットワーク、YouTube)を横断し、機械学習によって配信面が自動でアロケーションされるようになりました。
ACの仕組み
ACの各ネットワークへの配信が自動でアロケーションされる仕組みは、大まかに下記の3つとなります。
①データ収集
②機械学習
③配信
「データ収集」では、主にユーザー属性(時間帯や場所など)を、インストールされたアプリ、アプリ内イベントを収集します。またユーザーの行動意図のデータを検索、ディスプレイ、Google Play Store 、YouTube等から収集します。
「機械学習」は先ほど収集されたデータを元に独自のアルゴリズムを用いて行われます。
最後に「配信」は、配信先を問わずベストなタイミングで正しいユーザーに届くような配信の仕組みになっています。これらの仕組みの流れを見てわかるとおり、ACの効果を最大限引き出すには、機械学習の土台となる①データ収集が最大の要となります。後述しますが、いかに数多く質の良いデータを集めていくかを知ることが成功の鍵となると言えるでしょう。
AC利用のメリット
先述したとおり、ACの配信面には検索ネットワーク、ディスプレイネットワーク及びYouTubeがあり、Safari等のブラウザ検索時、アプリ利用時、YouTubeアプリ視聴時などベストな配信タイミングで配信が可能となっています。
ちなみに、iOSはSearch以外基本App面にのみ配信される一方で、AndroidはApp面web面に加え、Googleplayにも配信がされるという違いがあります。
どのような配信面で、いつ配信するかは機械学習によってACが自動でアロケーションを行うので、いちいちデータを分析したり、どの配信面が効果的か悩む必要なく、効果的なタイミングで打ち出すことが可能となっています。このように大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。自動化が進んだことで、他媒体と異なり「オーディエンス(誰へ)」「プレースメント(どこへ)」といったターゲティングの指定はできなくなっています。ピンポイントでターゲットを絞って広告を出したい方には不向きと言え、注意が必要となります。
ACの効果を最大化するには
ではACを利用する場合、その効果を最大化するためにはどのようにしたらよいのか。3つのキーポイントから解説していきます。
ポイント1「構造」
まず一つ目のポイントは収集したデータを元に、意図したターゲティング、配信拡大・効果改善に繋がるよう最適化することが可能な構造となっている点です。
ACは、各キャンペーンの下に広告グループが、そのさらに下に広告アセット(テキスト、静止画、動画、HTML5、以下同じ)が紐づきます。キャンペーンでは日予算や目標コンバージョン単価、配信言語、配信地域の設定等が可能です。
広告グループでは、各広告グループにつきテキスト(広告見出し最大5本、説明文最大5本)、静止画(最大20本)、動画(最大20本)を入稿することができます。
ちなみに、広告グループはそれぞれ停止/開始することは可能ですが、各広告グループ内にある広告アセットを個別で停止/開始することはできません(削除や追加は可能です)。
先般、広告グループのアップデートにより大量パターンのクリエイティブが入稿可能になりました。GoogleもACの学習の精度とターゲティング拡大のために、学習に与える「素材の量とターゲティングレバー」を拡充する動きを始めています。
ACが有する機械学習機能は、数百万にも及ぶシグナルをリアルタイムで分析し、その分析結果を入札調整や広告アセットの出し分けに自動的に反映してくれます。このような背景、機能がある中で、企業は自動最適化が最も機能するアカウント構造になっているか、何のデータを与えて学習させるかを吟味し実行することが重要になっていると言えるでしょう。
なお、ACでは成果量の分散を避けるため、基本的には「1KPI-各OS-1CPN」にまとめる構造を推奨します。最適化はCPN粒度であるため、 広告グループは集約構造とは異なりクリエイティブとセットで適切な構造設計が必要となっていきます。
ポイント2「入札」
二つ目のポイントは「入札」です。
ACでは、ユーザーの獲得やアプリ内ユーザー行動の促進といったキャンペーンの目標、または目標広告費用対効果を基準に、ターゲット設定や入札単価設定を最適化できます。ACの入札戦略は全部で4種類。それぞれ具体的な内容は次の通りです。
ユーザーの獲得目的を達成する、つまりインストール獲得数を最大化するための戦略として、目標インストール単価を設定することでその単価を維持した状態で最大限インストール数を獲得するように調整されるAC for Installs(V1)戦略があります。この場合、最適化に必要な最低CV数は1日あたりインストール50件になります。
次にアプリ内ユーザー行動の促進、アプリ内アクション最大化を達成するための戦略として、AC for Insralls Advanced(V2)戦略およびAC for Action[tCPA](V3)戦略が挙げられます。これは目標インストール単価もしくは目標アクション単価を設定することでその単価を維持した状態で最大限インストール数を獲得するように調整されます。これにより、ある程度インストール数が増えてきた場合に、アプリ内でより重要なイベントに重きを置くことで、より見込みの高いまたは収益化しやすいユーザーの獲得を行うことができるでしょう。最適化に必要な最低CV数は、目標インストール単価を設定した場合、1日あたりインストール50件、アクション10件が必要になります。他方、目標アクション単価を設定した場合は、1日あたりアクション10件が求められます。
最後に目標広告費用対効果を実現するために、TargetROAS戦略があります。これは、アプリ内課金などアプリ内で獲得した収益の広告費用対効果(ROAS)を目標に設定するもの。最適化に必要な最低CV数は、1日あたりアクション10件が必要になります。これは比較的難易度の高い戦略のため、ある程度実績・経験のある方が用いるのがおすすめです。
いずれの戦略をとる場合でも、適正な入札単価・日予算設定になっているか注意が必要です。また、KGI・KPIに近い地点への最適化(「質」)と、学習が機能するだけの「量」のデータを与えることが重要となります。
ポイント3「クリエイティブ」
最後のポイントは「クリエイティブ」です。
いかにユーザーの興味関心を引くクリエイティブが作れるかを追求していく必要があります。クリエイティブの良し悪しをいかに判断し、どのようなルール・アプローチで追加・停止の運用を行っていくかを常に考えます。
たとえば、ACの広告作成に使われる材料となるクリエイティブアセットに多様なバリエーションがあれば、さまざまなユーザー層にアピールできる広告を作成することが可能です。また、複数の広告チャネルで幅広く広告を掲載することもできるようになります。広告の組み合わせを増やし、様々な状況に対応するには、できるだけ多くのアセットをアップロードするのが上策です。
素材を網羅して数をより多く生み出し、広告フォーマットを網羅しフォーマットごとの制作割合を増やしていきましょう。ちなみに、もし仮に未入稿の広告フォーマットがあるとすると、AC独自でストア情報や入稿素材を組み合わせて、リサイズ/自動生成を行い配信してしまう場合があります。これですと、自分の意図とは異なる内容となってしまう可能性があります。このような事態に陥らないよう全広告フォーマットを網羅し、意図したCRで配信された状態の設計が必要といえます。
また、質をあげること、勝ちCRの発掘と精査を行うこともより良いクリエイティブを生み出すポイントといえます。当たり率へのコミットと鮮度の維持を図ることで質を高めていきましょう。
終わりに
最後に、アプリ宣伝広告を最適化配信するためのACを効果的に利用する手法についてまとめると次のようになります。
・訴求ごとの広告グループ構造設計とテキストパターンを増やし、ターゲティングを拡大
・KGIやKPIに近い地点への最適化、学習が機能するだけの情報量を与える
・広告フォーマットを網羅し、実績ベースで評価を行いPDCAを回す
何をどのように達成したいのか、しっかりと目標を立て、その実現に向けて多くのデータをACに吸収させ、自動学習機能の精度をあげていくことで成果が得られます。効果的な広告配信をするためにも、多様なバージョンを集め対策を打ち出していきましょう。