GA4の導入を進めるには?完全移行前に知っておくべきこと
2023年7月1日に完全移行することが決まったGoogleアナリティクス4(以下『GA4』)について、その移行までの背景や特徴を前回の記事で述べてきました。GA4は、現在のWebマーケティング領域においてなくてはならない存在となってきています。
本稿では、GA4をいかに自社にマッチさせて取り入れるかについて解説していきます。
GA4の導入は難しい?
GA4は、現在主流で使われている第三世代のGoogleアナリティクスであるユニバーサルアナリティクス(以下『UA』)の次の世代です。しかしその特徴から、単にバージョンアップしたのではなく、新たなツールとしての側面が強いといえます。
そのため、従来通りにやろうとしても得られるデータが異なったり、計測対象が変わったりしていて移行が難しいという声も多く聞こえています。SEM Technology社の『上場企業のGA4導入状況調査レポート』によると、2022年5月時点で上場企業のGA4導入率は約20%となっており、まだまだ導入率が低い状況です。
また、導入はしたものの自社に合うような活用ができていないという声も聞こえています。
このようにまだまだ馴染めていないGA4ですが、2022年6月末日までに導入することを強くおすすめします。その理由の一つとして、本格始動前となる2023年7月でも、2022年7月~2023年6月のデータを昨対比として活用できる点が挙げられます。データ解析の基本は昨対比にあるため、情報はなるべく多く取ることが重要です。
また、UAからGA4へはデータの移行や引き継ぎを行うことができず、さらに2023年7月以降は、UAではデータ処理がされなくなるため、GA4の導入が必須になるという背景があるためです。
このような重要な局面で、企業はいかにGA4を導入していくべきか考えることがポイントです。
GA4の導入を加速させるには
GA4はシステム自体が大きく様変わりしています。最初から全て一気に導入しようとすると何から手をつけて良いか分からなくなり、かえって効率の悪い結果となるでしょう。そこで、GA4の特徴から、自社の課題解決に繋がりうる点・行動に繋がりそうな点はどこかを一つ一つ分析し、少しずつ導入を進めていくのをおすすめします。
例えば、自社のオムニチャネルの対応・成長が課題だった場合、GA4の大きな特徴の一つである、「計測対象の拡大」という切り口から導入を進めていくのが良いでしょう。GA4では、従来唯一の分析対象だったWebサイトの他に、iOSアプリとAndroidアプリのデータが計測できるようになっています。アプリやSNS、Webサイト、実店舗など、さまざまな媒体から流入する顧客がスムーズに購入できるよう設計されているオムニチャネルにとってぴったりな機能といえます。オムニチャネルに課題がある方は、まずはWebサイトとアプリの統合から始めてみるのはいかがでしょうか。
また従来Cookieを用いて行われていたユーザー識別が、GA4では
①User ID
②Googleシグナル
③ブラウザ別Cookie
と確度の高い順で識別されるようになりました。
このため、今後の自社サイト運営では、いかにユーザーに会員登録してもらうかが非常に重要なポイントになっています。ユーザーの属性や行動などの情報収集に課題がある方、Cookieを重視していた方は、自社サイトの見直しから入るのも良いでしょう。
その他に、これまでUAを用いてセッションごとのコンバージョン率や直帰率を重視していた場合、この部分の大幅な見直し、考え方の転換を図るところから始めるのも良いでしょう。UAと異なり、GA4の場合はセッションスコープからユーザースコープへ転換されています。ユーザーを軸にした計測になり、さらにライフサイクル全体を見ることに重きを置くようになりました。
ちなみに、計測の変更に伴い、直帰率という指標は取れなくなっています。ユーザーの流入経路はどこか、どこでコンバージョンしたかなどのカスタマージャーニーを元に、『エンゲージメント率』や『LTV(顧客生涯価値)』を重視する考え方に変えていくことが課題解決に繋がります。
イベントタグ設定を行なっておく
GA4の導入がまだ先になるという方は、GA4で使用されるイベント用のタグを、Googleタスクマネージャー(GTM)で設定するだけでも先にやっておくのをおすすめします。
GA4イベントの場合、『イベント名』と『いくつかのパラメータ』という仕様になっており、イベント毎の計測となっています。また、GA4ではイベントを3種類に分けることができ、そのうち『自動収集イベント』は設定が不要で便利な仕様になっています。
ただし今回の場合は、『推奨イベント』の設定を行っておくと、後々役立つと考えられます。推奨イベントとは、手動で設定して実装しますが、イベント名やパラメータは事前に定義されています。詳細は、Googleのアナリティクスヘルプをご確認ください。推奨イベントでは、既存のレポート機能と今後追加されるレポート機能を利用できることからも、今後役立つといえるでしょう。GTMを用いれば、UAと並行した作業も可能です。
おわりに
GA4について2回に分けて解説をしてきました。
GA4は、UAから変わった点が盛りだくさんです。最初は何から手をつけていいか分からない、自社に合うようにするにはどうしたらいいか迷っている、間違えたらと思うと不安という方も多くいらっしゃったかと思います。
しかしながら、オムニチャネルの加速やCookieの廃止、SNSの進化など、さまざまな発展があるWebマーケティング業界で、より適切なデータ分析を行うためにGA4へ移行することは不可欠です。一気に行う必要はありませんので、まずは行動につながる課題を見つけ出し、それに合う部分から手をつけていくのがこれからのポイントです。
しっかり準備を行い、成果に繋がる基盤づくりを進めていきましょう。